器官毎の検査項目について

脳・脳血管の検査について(頭部MRI・頭部MRA)

頭部MRIは核磁気共鳴により頭部の断面映像化する装置です。
MRAは頭部の血管のみを抽出して映像化する装置です。
MRIは脳出血、脳腫瘍、脳梗塞など、MRAは血管を観察するため脳動脈瘤、くも膜下出血などの発見に有効です。
CTもMRIと同様に断面映像化する装置ですが、CTと違いX線を用いないので被曝の心配はありません。
現在では脳ドックの場合CTよりもMRIが一般的で、一部ではオプションにCTを用意していますが、MRIで問題がなければCTは通常必要ないでしょう。
ペースメーカーや体内に金属がある場合など、MRIが使えない場合もあります。

甲状腺の検査(甲状腺超音波)

甲状腺に超音波をあて、その反射エコーを映像化する検査が甲状腺超音波です。
甲状腺エコーとも呼ばれます。
甲状腺の病気になると大きくなることが多いため、甲状腺超音波により甲状腺の大きさ、腫瘍病変の位置や大きさ・性状などを調べます。
甲状腺癌、甲状腺腫、甲状腺機能亢進症、バセドウ病、甲状腺炎などの発見に有効です。

動脈硬化の検査(脈波伝播速度・下肢上肢血圧比・頸部超音波)

脈波伝播速度(PWW)は動脈硬化の度合いを測定する検査です。
心臓からでた血液の拍動が手足に伝わる速度を測定するもので、血管が固くなるほど脈動は速く進むため動脈硬化が進行するほど数値は高くなります。
年齢とともに高くなることや、血圧が高い状態では測定値も高くなることがあります。
下肢上肢血圧比(ABI)は上半身(腕)と下半身(足)の血圧比で、通常は上半身よりも下半身の方が血圧が高いのですが、下半身の方が血圧が低くなる場合があります。
下半身の方が血圧が低い場合、血流が悪くなっていると考えられ、閉塞異性動脈硬化症が疑われます。
頸部超音波は頸動脈に超音波をあて、その反射エコーを映像化する検査です。
体のなかの動脈の代表として頸動脈を検査して、動脈の状態を調べます。

循環器の検査 (静時心電図・負荷心電図)

静時心電図は一般的な心電図で、安静にした状態で測定するもので、心臓の膨張と収縮による微弱な電流を測定します。
心電図により心臓の収縮・拡張が正常に行なわれているか、冠動脈の血流が正常か、心筋に異常がないかなどを調べます。
心電図から不整脈や狭心症などの有無が疑われます。
心電図で異常が疑われる場合、負荷心電図や24時間心電図(ホルター心電図)、心臓超音波(心エコー)などで更に検査する場合があります。
負荷心電図は特に狭心症の疑いがある場合に検査を行います。
通常の安静な状態での測定以外に歩いたり、自転車のペダルをこいだ状態で測定を行います。

呼吸器の検査(胸部レントゲン・胸部CT・呼吸機能・喀痰細胞診)

胸部レントゲンは健康診断などでよく受診するレントゲンで、特に造影剤などは用いません。
肺がんや肺炎、気管支炎、肺気腫などがわかります。
単純な検査ですが、沢山の情報が得られる検査です。
胸部CTはX線により断面を映像化する検査で、肺がんを調べるためには最も有効な検査と言えます。
もちろん肺がん以外にも肺炎や肺気腫などもわかります。
喀痰(かくたん)細胞診は痰(タン)を直接検査することで、感染症や肺がんの有無を調べます。
直接観察できる検査なので、重要度は高いと言えます。

消化器の検査(上部消化管内視鏡・ペプシノーゲン・ヘリコバクターピロリ菌・腹部超音波・便潜血反応検査)

上部消化管内視鏡は食道、腸、十二指腸までの上部消化器官を内視鏡を使い観察する検査です。 いわゆる胃カメラです。
バリウムを飲むX線、上部消化管X線造影検査などで問題が見つかった場合に行うのが一般的です。
胃がんの有無や進行具合などがわかります。
腹部超音波は腹部に超音波をあて、その反射エコーを映像化する検査です。
妊婦さんの胎児の状態を調べる検査でもあります。
人間ドックなどでは胆石や肝臓がんの早期発見に役立ちます。

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